視野異常 ②はじが見えない

前回は視野の中心に異常が起こる病気でしたが、今回は視野の端から欠ける視野異常のお話です。

   47歳の女性B子さんの場合、「数日前から見える範囲全体に雲がかかり視野が暗くなった様に感じたので、右目を閉じ左目でみると耳側の視野がカーテンで遮られたように半分欠けている」と訴えて来院しました。左目は網膜の半分が既に剥離を起こし、その中に網膜が破れた穴(網膜裂孔)がありました。このような網膜剥離は網膜に裂孔ができ、その穴から眼内液が網膜下に入り網膜剥離を起こします。治療をしなければ剥離は拡大し、網膜全体に広がると失明します。網膜に穴が出来ても剥離がなければ、外来でレーザーを行えば治療は終了です。しかし、B子さんのように一旦剥離が起こると、穴を塞ぐ手術のために入院しなければなりません。網膜剥離の前兆の飛蚊症(蚊が飛ぶ)や光視症(暗がりで光が走る)を自覚したとき直ぐに検査を受けるか否かが、外来レーザーか入院手術かの分かれ道です。周辺から視野が狭まる病気には、遺伝性の網膜色素変性症などもあります。



   眼科以外にも内科や脳外科など他科の病気が、初発症状として視野異常を起こすこともあります。

   72歳のCさんは、若い頃から高血圧と糖尿病を患い、糖尿病網膜症のためレーザー治療を受けています。ある日のこと「1~2週間前から真っ直ぐ歩いたつもりでも片方に曲がってしまう。最近は片側のドアや壁にぶつかることが多くなった。」と訴え来院しました。視力や眼底検査では特別な変化はありません。しかし、視野検査を行ったところ、両眼の同じ側の視野半分が、きれいに欠損していました。両眼同時に急激に起こる視野異常は脳梗塞など頭の中の病気で見られる症状です。Cさんには直ちに脳外科を受診してもらい、治療を受け事なきを得ました。

   急激に進行する視野異常の場合、それに如何に早く気が付くか否かが、眼科的疾患のみならず全身病の治療結果にも大きな影響を及ぼします。