2005年06月24日号

GNH=国民総幸福量


考えてみればずいぶんと臭いのしない生活を送っている。大きな変化は水洗トイレの普及だろうけど、下水なんかも地下に隠され、臭いモノと汚いモノにはしっかり蓋がされて、昔から見ればずいぶん快適な生活だ。昭和30年代の東北の山奥。村々には家畜と人間の排泄物の臭いの、鼻につんと来るような「田舎の香水」が充満していた。実は散歩人が、田舎が嫌で街に出る大きな理由の一つになったのが、この臭いだったと思う。


   ヒマラヤにブータン王国という小さな国がある。テレビなんかで見ると日本の丹前みたいな着物が正装だし、文化・風土が似た感じで人々にも親近感が感じられ、一番行ってみたい国だった。そのブータンのワンチュク国王が提唱している「国民総幸福量」(GNH=Gross National Happiness)が話題を呼んでいる。


   国民総生産やら経済にしか目が行かない“先進国”と異なり、経済成長ばかりに国家の目標を置かず、本当の目標は「国民の幸せ」に尽きるという概念。日本ならその幸せの中身で大騒ぎになりそうだが、ブータンではむしろ誇りにし、例えば自然破壊に繋がる大規模発電所は計画を中止し、小規模な水力発電に切り替えたという話などが伝わっている。ほかに、民族衣装着用義務、外国人の入国制限、森林伐採規制、タバコ販売の禁止なども重要な政策だそうだ。


   ちょうど30年前の日本を見ているようだといわれるブータン。物質的には決して豊かとは言えず、医療面などでも遅れは否めない。おそらく村々の「臭い」も30年前までの日本と同じようなものだろう。しかし、なぜか今思えば、かけがえのない自然と幸福の良き「匂い」なのではないか、という思いも湧くのである。


SDHC 32GB

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