2005年08月05日号

「蓬莱山」は今


中国の伝説では3神山の一つ「蓬莱(ほうらい)」は東方の海上にあり、仙人が住むという。中国にも日本にも徐福(じょふく)伝説というのがある。歴史書「史記」には徐福という男が始皇帝に「蓬莱山に渡って、不老長寿の仙薬を手に入れる」と申し出、童子、童女数千人を連れ船出した話が載っている。「徐福が連れてきた子供たちの子孫が代々にわたって数万戸にもなっている」(三国志・呉伝)とか、「日本には富士山という山があり、蓬莱山ともいう徐福の子孫は秦氏を名乗っている」(義楚六帖)など後日談もある


   日本という国は世界的にも恵まれた豊潤な土地らしい。森に恵まれ、水は豊かだ。山には木の実、土地には五穀の豊穣(ほうじょう)の実り。そして、四方は海。生命にとって、これだけ安心で恵まれた世界は少ないのではないか。昔、仙人の住む蓬莱山と、大陸の人々が夢想し、あこがれたのもわかる気がする


   哲学者の梅原猛さんが、次のようなことを言っている――西の文明は小麦農業と牧畜が生産の基本で、森を切って畑にした。畑が荒れると牛や羊を飼い、さらに荒れ地でも放牧できるヤギを飼う。最後にヤギが木の株を食べて全部枯れてしまい、砂漠になる。山には一本の木もない。中東や中央アジアの砂漠はそうした人為的な原因で広がった。稲作農業では雨が必要で、水を蓄える森林をどうしても残さなければならない。だから稲作農業の東アジアには山に木がある――(朝日新聞社刊「梅原猛の授業」より)。


   豊かな森があり、田んぼがある「この国に生まれたのはよっぽど幸運なこと」だと思う。しかし、飛行機から見ると良くわかった。虫食い状態に山の上まで開発され、その森が今、まさに死のうとしている。


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