2005年09月09日号

心がまえ


教えられて教えられて、人はお互いに幸せに生きていく術(すべ)を身に付けていくのだろうと思う。太平洋戦争で千島列島の激戦地、アッツ島から生還した下駄屋のご主人は「いい時があれば悪いときもある。悪い時があればいい時もある」。株だって下がれば上がる時が来るから成り立っている。景気も下がれば上がる。人生だってそうだ。世の中はそうできているのだと、まだ20代の散歩人がため息をつくたびに教え、慰めてくれた。いつも言うことは同じだが、行くたびにずいぶん勇気づけられた。


   「人を祝ったり見舞ったりする時には、その人が何を喜びそうで、また何に困っているかを考えればいい」と教えてくれた先輩もいる。お金だったり、花だったり、好きな食べ物だったり…。世間の一般常識というのもやっぱり参考にするのだけれど、時に飲ませたい酒をぶら下げて行ったりもする。けれども、糖尿病の人にお菓子を持っていったりすれば、相手が怒ってしまうかもしれない。相手の事情というのを考えないといけない。とにかく、何をしたらその人が喜んでくれるのか、助かるのかなのだと教えてくれた。


   逆に「助けてもらう時の心がまえ」なるものも教わって、これもずいぶん役に立っている。つまり、「お金のない人にお金の助けを求めても、その人を苦しめるだけだろう」。助けを求めてその人を苦しめるようなことになってはならない。ありがとうと感謝できる形にしないといけないのだ。だから「その人ができる事柄、得意なことで助けてもらえば、こちらは恩を着れるし、助けてくれる人は気持ちがいい」。


   あれやこれやと教えられながら、散歩人も歩いてきた。一人ではない。頼めば共に歩いてくれる人もいる。

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