2005年10月14日号

元宰相の「名言」


「嘘をつくな。すぐばれる。気の利いたことを言おうとするな。後が続かない。」(田中角栄の言葉・・・早坂茂三著「オヤジの知恵」=集英社文庫=より――“角さん”と庶民に親しまれた元宰相はいろいろな「名言」を残している。


   散歩人が子供の頃、いっぱしを気取って田中角栄を批判する散歩人に、父親は苦笑混じりに、その世間知らずをたしなめてくれた。だが、批判しながらもなぜか、角さんが好きだった。で、その「名言」からは、時に元気と勇気を貰ってきた。「末ついに海となるべき山水も、しばし木の葉の下くぐるなり」色紙にはこんなことも書いた。若くて無名な人たちに書いたという。


   平民宰相と愛された反面、金権体質という批判もあった。ロッキード事件では刑事被告人になった。その事件の本質については今もよくわからない部分もあるといわれる。だけども、そんなことよりも、泥臭い人間性に、地方や社会の底辺で生きる人々の苦しさを心底知ってくれているという信頼感があったような気がする。散歩人だけではない。2000年の朝日新聞「この1000年『日本の政治リーダー』読者人気投票」で、坂本竜馬、徳川家康、織田信長に次いで第4位にランクされ、人気は衰えない。なぜか、先日の衆議院選挙を見ていて、しきりに角さんが懐かしくなった。


   一番好きな言葉は「先行き何があろうとも空は落ちてこない。山より大きな猪は出てこない。おたがい命まで取られない。心配するな」。何となく気が楽になる。でも、「『誰それがこう言った』『あの人のこういう見方は正しいと思う』といったうんちくをひけらかすことが得意な人がいる。しかし、悲しいかな自分の言葉がない。寂しいことだ」とも言っている……。

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