2005年12月16日号

鍋・いろいろ


小さな土鍋に昆布を敷いて薄口醤油と酒で適当に味付けし、ハマグリやアサリなど貝類と、散歩人の場合は必ず好物の油揚げ、そして大根の千六本を入れ、煮えた傍(そば)から食べてゆく、そんな小鍋が冬になると懐かしくなる。千六本というのは大根をマッチの軸くらいの太さで5~6mm程度に細長く切ったもので、具が何もない時はそれだけでもおいしいし温まる。ネギだけでもよいし、白菜など家にある野菜や食材を好きに試してみる楽しみがある。塩でも味噌でも、調味料もいろいろ試してみると素材との相性や自分の好みの味がわかって面白い。とにかく、細かいことは気にしないで好きにやる。


   鍋に土鍋を使うのは理にかなっているという。熱の伝導が悪いから、少しずつ煮え、急激な加熱にならない。栄養素を壊さないでじっくりと汁の中に溶け出させるという。陶器だから遠赤外線の効果もあり、中までしっかり熱が通る。そして冷めにくい。


   いろいろ入れる具には栄養が詰まっている。例えば冬の旬の真鱈には良質のたんぱく質やビタミンA、骨を作るのに大切なビタミンDが豊かだ。鮭には動脈硬化の予防に良いといわれる栄養素やB1、B2、ナイアシンなどビタミンが豊富。カキには鉄や亜鉛などミネラルがたっぷりとか。白菜はビタミンCやカルシウム、カリウム、マグネシウムなどミネラルを、ネギはビタミンCを大量に含むほか、殺菌作用が高く風邪の予防にもなる硫化アリルが多い。大根にはビタミンCのほか、酵素やガン予防にもなるという辛味の成分が含まれ、キノコ類にはガン予防のβ―グルガン。そして、出汁の昆布はミネラルの宝庫。


   鍋の滋養は何よりの「薬膳」なのだ。鍋の季節。一人鍋奉行もたまにはいい。

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