2006年02月10日号

いただきます


先年退職したS君が入社したての頃に初めて食事に行った時、内気で物静かな彼が「いただきます」をはっきり言うので少し驚いた。さらにS君は帰り際に大きな声で「ごちそうさまでした」。それがとても自然なのである。以来、当社では残業などで食事の際の「いただきます」「ごちそうさま」が習わしになった。S君の所作が気持ち良く、社員みんなが感化されてしまった結果だ。


   「いただきます」をめぐる論議が話題になっている。子供も、むしろ大人が「いただきます」「ごちそうさま」を言わなくなったらしい。給食や外食ではお金を払っているのだから、言わなくてもいいという人もいるのだそうだ。今日のご飯にようやくありつけるような生活なら、きっと思わず手を合わせてしまうだろうに、と散歩人は至極単純に考えてしまう。言わないより言ったほうが気持ちいいし…


   テレビ番組で、挨拶の間違いについて行儀作法の専門家なるものが解説していた。隣家の奥さんが隣の旦那さんに「いってらっしゃい」と言ったら、それは間違いなのだという。同じ所へ帰ってきてくださいという意味だから、隣(の私の所)に帰ってきてくれという意味になってしまう…などという説明(考えすぎだよ)。「ご苦労さまです」は本来、目上が目下に向けてかける言葉だから、上司や目上に使うのは間違い…といった例も出て、ずいぶん難しい。何か揚げ足取りのようですね。話し言葉には時代と共に変化する宿命がある。四角四面を言い過ぎると敬語みたいにこんがらがって、自然に使えなくなってしまいそうだ。


   娘が何年か前から「いただきマンモス」と言うようになって、それが最近は「マンモス」だけに略されるようになった。知人にそれを話したら、のりピーこと、タレントの酒井法子さんが流行らせた言葉らしい。「いただきます」がそのうち「マンモス」に変わるも知れない。

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