2006年02月24日号

122:緑内障と視野①視野の経路


目の中に入った映像は光刺激として網膜の視細胞を興奮させ、その興奮が視細胞から神経節細胞に受け継がれ視神経線維を介して脳に伝達されます。これが「ものが見える」という仕組みです。


   個々の視細胞から出た視神経線維は眼底の奥にある視神経乳頭という部位で集合し1本のケーブルとなり脳に向かいます。今風に言うと、ビデオカメラで撮った映像をテレビでみる際に両者をつなぐケーブルが視神経線維と言うことになります。この視神経線維も身体のほかの部位と同様に年齢に応じた老化がみられます。まず視視神経線維の生い立ちについて注目してみましょう。


   ヒト成人の眼球にはおよそ120万本の視神経線維があると言われています。この視神経線維の元になる神経節細胞の数は、胎生期には成人の2倍もあるのですが、脳の視中枢と上手く連結出来なかった細胞は消滅し、出生時にはその数がおよそ半分にまで減少するのだそうです。つまり生まれたばかりの時期から早くも細胞の間引きが行われているのです。


   そして驚くべきことに、出生後から早くも視神経線維が毎年平均5000本程度が生理的に脱落していくのです。この減少を日割りにすると一日に13・7本が消失していく計算になります。我が国の平均寿命は80・5才(女性84才、男性77才)ですので、平均年齢まで生きたとすると毎年5000本減少のペースで神経線維が全体の25%にあたる30万もの視神経線維が失われることになります。


   この視神経線維の減少は、70才を過ぎると40万本に及ぶという報告もあります。この減少は加齢変化の一環として起こる生理的な変化、つまり老化を意味しています。しかし、幸いにも目立った視野障害が現れることはほとんどありません。視野異常を自覚するのは視神経線維の数が75%~80%消失した場合、つまり、視神経線維が90万本から96万本程度無くならなければ視野障害に気が付かないからです。


   このように、視神経線維は加齢により減少しても、ものを見る機能が正常に保たれるように余裕をもってつくられています。

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