2006年04月07日号

肺気腫のお助けマン、在宅酸素療法!


Hさんは60歳台後半の男性。現役をリタイアする頃から身体を動かすときに動悸や息切れなどの症状を自覚していた。症状は冬期間に悪化、風邪をこじらせて咳や痰がつくと、やがてゼイゼイが始まり、酸素吸入を受けたこともある。昨年夏に札幌に転居したのをきっかけに、某病院呼吸器科を受診した。診断は肺気腫と気管支喘息……在宅酸素療法を勧められた。


   2ヶ月間その病院に通院したが、100メートルほど歩くと動悸や息切れのため5分間の休憩が必要という状態で通院が困難……最も近隣にある私のクリニックで治療を行うようになった。パルスオキシメーターという器具で動脈血の酸素飽和度を測定することができる。正常人は98%前後の値を示し98%を切ると呼吸困難を覚える。Hさんの安静時の値は95%でクリニックに到着した直後の値は90%を切る。


   在宅酸素療法という治療法がある。空気中から酸素を濃縮する器具を用いて自宅でも酸素吸入が可能となり、外出時には携帯用酸素ボンベも使える治療法だ。一昔前の濃縮器は小型冷蔵庫ほどの大きさで発する騒音も大きかった。しかし、最近のものは加湿器を一回り大きくした程度で音も気にならない。健康保険適応となっているが、適応となる人は身体障害者の認定可能な人で、自己負担は限度額が設定されるか、免除される。


   今年に入ってHさんも身体障害者の申請を行い、在宅酸素療法を開始した。通院してくるHさんの表情を見るだけで、この治療法の有効性が分かる。2月中旬に来院したHさんの第一声は「雪祭りを見に行ってきました」、通院以外はできるだけ外出を控えていたそうだが、「雪祭りを見に行けたのは夢のよう」とのこと。現在、私のクリニックでは5名の患者さんが在宅酸素療法を受けている。身体障害者認定と在宅酸素療法を頑固に拒否したKさんも酸素ボンベを携え笑顔で通院してくる。

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