2006年06月09日号

清めの塩


お通夜から帰って玄関に入ろうとした散歩人を「ちょっと待って!お塩お塩」という家人の大きな声が制止した。そこに食卓塩の小びんを手にした娘が現れ、そのまま肩にパッパッと振りかけたものである。菜っ葉か何かのように塩をかけられて、しおれ気味で玄関に入ったのだが、おそらく大方の人の意識がこの程度の「清めの塩」が、関西の方では大きな論争を巻き起こしている。


   天橋立(あまのはしだて)で有名な京都府宮津市が昨年秋、お清めの塩が「迷信に過ぎない」「人間の尊厳に反する行為」などという内容のチラシを全戸に配布して問題になった。チラシを作った同市教育委員会では(清め塩で死者のけがれを清めるという慣習ついて)「今まで親しんできた人を、亡くなった途端に、けがれた存在とみなすのは人間の尊厳を冒涜することにならないでしょうか」と、風習の廃止を呼びかけたという。


   これに対し、「行政が介入すべき問題ではない」などの抗議が全国から殺到、5月11日、同市は『「押し付け過ぎ、踏み込み過ぎ」と指摘された点について反省し、中止しました』と謝罪している。この問題には宗教面や差別の問題につながる論争があったようだが、一般的には唐突過ぎて、清め塩などというごく庶民的慣習に、どうして唐突に役所が出てきたのか?と面食らった人が多いようだ。


   大切な生命維持成分であるだけでなく、優れた殺菌・洗浄剤であり、防腐剤、保存剤でもあった塩は、古来より神聖視されてきた。清め塩はその記憶をとどめる風習のひとつともいえる。こじつけでものを見れば、何だって悪くできる。ポンポンと手を打って初日の出を拝んでも叱られそうだ。そんな危うい社会に戻してはいけない。


けいおん! CD

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