2006年09月01日号

おまけの幸福感


八百屋さんでみかんを買う時、「おまけしとくから…」と1つ2つ余計に袋に入れてくれる、そんな時に感じるささやかだけど何ともいえない幸せな気分が好きだ。昔は、魚屋さんでも総菜屋さんでも、駄菓子屋さんでもそんなこまやかな「おまけ」のおすそ分けが結構あった。一人暮らしの頃の日々の買い物で、あの「おまけ」のおかげでどれほど心が慰められたろう。


   おまけといえば、グリコのキャラメルやマーブルチョコレートに付いた玩具だのシールだのも、子供には幸せなおまけだった。最近は、コーラやお茶の清涼飲料水によくついていて、おまけが欲しいから買うわけでもないから捨てるに捨てられずに処置に困ってしまうことが多い。


   催しの“おまけ”で喜ばれるのがビンゴゲームだ。大人数を一気にまとめるにはこのゲームをやるのが一番だという。盛り上がることうけあいだ。散歩人もこの夏、地域のお祭りやらで、2度ほどビンゴに参加して1度だけ「ビンゴ!」を叫び、台所洗剤を2本貰って家人にほめてもらった。何百人もいる会場だったが、老若男女参加者全員が、発表される数字を聞き逃すまいと耳をすませ、見逃すまいとカードに目を見張り、それは真剣なものだ。景品がさほどのものでなくとも、当たるかも?という期待感にどの人の顔も生き生きしている。まるで今の世相とは逆の、希望に満ちたひとときだ。


   タダで物がもらえるということに、人は相当の幸福感を感じるものらしい。でも、みかん1、2個をおまけしてもらった時のほのぼのとしたうれしさは格別だ。八百屋さんの商売の技といってしまえばそれまでで、どこかに心づくしの温かみがおまけにくっついていたように思う。商店街が寂しくなって、人と人のふれあいが醸(かも)し出すあのささやかな幸福感も味わえなくなった。残ったのはスーパーの無味乾燥な、セールという名の価格戦略…。寂しいと思う。


SDHC 16GB

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