2006年09月08日号

膜の上に膜が出来た


ある日の午後、70歳を過ぎた女性が診療所を訪れ、右眼が「半年程前より目の前に時々ピカーピカーと光が走るようになった」と訴えました。視力検査では左眼は1・0と正常でしたが、ピカーピカーと光視症を自覚する右眼は0・4と低下がみられます。水晶体は軽度の濁り(白内障)がありますが、左右同程度で視力に大きな影響を及ぼす程の混濁は見られませんでした。そこで点眼薬で瞳を十分に開いた後で眼底を観察しました。すると、左眼には異常がなかったものの、右眼には白く混濁した繊維状の膜が蜘蛛の巣のように黄斑部を覆っていました。


   これは「網膜上膜」といい、網膜上に更に薄い膜が張りつめた状態です。単に透明な膜が黄斑部を被うのであれば、ものの見え方にはさほど大きな影響が現れることはありません。しかし、この膜は網膜と癒着していることが多く、更に膜がある程度蔓延ると今度は膜が収縮するのです。膜の収縮に伴い網膜も牽引されて「しわ」が出来ます。「しわ」が出来ると、ものが歪んで見えるいわゆる変視症が現れます。視力の低下も起こってきます。


   今回は光視症も自覚されました。この症状は網膜剥離の前兆として有名です。通常は眼球の動きに併せてピカーと光ることが多いのですが、夕暮れ時とか暗い部屋など、周囲が薄暗い場所で気がつくことが多いようです。しかし、今回の光視症は明るいところでも起こっています。おそらく網膜の中でも最も鋭敏な黄斑部が牽引されたためでしょう。他にも中心部に光が走る病気があります。閃輝暗点と言いますが、これは突然ギザギザした光が視野の中心に現れ、15分~30分続きます。その発作中は、中心部は輝くような白っぽい暗点のため、ものが見えなくなり、その後徐々に暗点は収まりますが、引き続いて頭痛が起こります。これは目に症状が現れるものの本態は脳血管にあると言われ、この脳血管が一時的に収縮したことが原因と考えられています。


   話を元に戻しますが、「網膜上膜」が高度の視力低下やゆがみの原因になっているようなら、硝子体手術によりその膜を取り除きます。


木村カエラ CD

トラックバックURL:

« そば屋の出前 | TOP | S婆ちゃんとの混浴? »

[PR]SEO対策済みテンプレート