2006年10月13日号

ちょっと変わった緑内障


緑内障といえば、眼圧(目の硬さ)が正常値(おおよそ10~20mmHgの範囲です)よりも高い状態が続き、そのため視神経が圧迫による障害を受け、視野(見える範囲)が狭くなり、最終的に失明する病気です。この視神経の障害は通常両眼に同時進行します。その代表としては、開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障が上げられます。


   本日取り上げるのは、これらとは少し趣の異なる落屑緑内障(らくせつりょくないしょう)という緑内障についてお話しします。


   まず、この緑内障は40才以下の若い人には少なく、高齢者に多発することです。実際に外来などで緑内障の患者さんをみていると70才以上の患者さんがほとんどです。更にどんな特徴があるかと言えば、生体顕微鏡で虹彩を注意深く観察してみると、瞳孔(ひとみ)の縁にあたる虹彩の全周に、白っぽい濁った物質が、ふけ状または膜状に観察されることです。また、ひとみを散瞳して水晶体の前面を観察すると、地図状またはヒトデ状などの白濁した膜様物がみられます。この落屑物質は眼球内部で作られた老廃物の一種ですが、年余に渡り眼内のいろいろな部分に蓄積されていきます。眼球外部に排泄されずに残った落屑物質は、やがて房水(眼内の栄養水)が排出される妨げになっていきます。そうなると眼内に房水が貯まるため眼圧が上昇して緑内障になります。房水の流れが悪くなると言う点では、動脈にコレステロールが蓄積して動脈の内腔が徐々に狭められ血流が遮られて起こる脳梗塞や心筋梗塞などと同じような出来事と考えられます。


   この落屑緑内障では、片目のみの眼圧上昇も珍しくないことも特徴の1つです。困ったことに眼圧が高い割には自覚的な症状は軽く、目の霞や軽い頭痛しか感じていないことが多く、最初に診察を受ける頃には、病状が相当進行していることが珍しくないのです。


   治療には点眼剤を中心とした薬物療法ですが、なかなかうまく眼圧をコントロール出来ないことが多く、レーザー治療や手術療法を行わざるを得ない場合もあります。

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