2006年10月27日号

目の病気 そこひ


秋もまっただ中。からっとした気持ちの良い日が続いていますが、突如台風もどきの強風と雨。…心と秋の空とは良く言ったものですね。10月に入ると日差しも弱くなり、暮れ六つ(午後6時頃)も過ぎると陽が落ちるのが早く、あっという間にあたりは暗くなります。昔は夏から秋へと季節が移り変わり行く様を「秋の日は、つるべ落とし」と言い、時候の挨拶によく使ったものですが…。当院のスタッフの1人に「最近は陽が落ちるのが早くなり、釣瓶落としだね」と言ったところ、「つるべって何ですか」と聞かれ、びっくりしてしまいました。「釣瓶とは井戸の水を汲むための桶のことで、この桶を井戸の中に落とすと急に見えなくなるのと同じように、秋の夕日は急激に暗くなることだよ」と説明したところ、何となく分かったような、分からないような顔つき。

   最も今頃の若い人たちは、井戸などは見たことがないから、井戸から水を汲むなどと言うことは想像も出来ないのかもしれません。水道の蛇口をちょっとひねれば水ばかりではなくお湯も出てくるこのご時世、いやはや便利な世の中になったものです。

   今度は逆襲を受けてしまいます。「先生、それでは白内障や緑内障のことを、しろそこひやあおそこひと言いますが、どうしてですか」と、聞かれてしまいました。このそこひと言う言葉は江戸時代に使われたようで、目の病気はそこひ(底翳)とうはひ(上翳)に分けて考えられていたそうです。うはひは結膜炎やものもらいなど外から見て分かる赤目病に、一方、そこひは外から一見しただけでは分からない白目病を指していました。そして、眼底検査などがなかった時代、そこひはひとみの色で3つに分けられていました。ひとみが白く濁ってくる病気、今で言う白内障をしろそこひ、眼圧が上がり角膜がむくむ(浮腫)とひとみはどんより緑色がかるため、緑内障をあおそこひと、ひとみには何ら異常が見られない眼底や視神経の病気をくろそこひと呼んでいたそうです(武藤政春著:役に立たない目の話より抜粋)。

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