2006年10月06日号

お月見と虫の音


先週の散歩道で秋の虫の音の話をしたとたん、27日夜の雨を境い目に、28日、29日と虫の鳴く音がぴたり止まってしまった気がする。よく言われるように気温のせいかどうかはわからないが、散歩人の玄関先で鳴いていたエンマコオロギの気配も、道端の虫の音楽会も一夜にして消えた。いろいろな虫がいるだろうに、申し合わせたように虫の音が止んだのが何とも不思議なのだが、もしかして散歩人の気のせいかもしれない。まだ10月初め、これからまた鳴き始めるのだろうか。虫博士として知られる坂本与一先生(道田園生態系保全機構理事長)にお聞きしたら、「気がつきませんでしたねぇ。まだまだ鳴くでしょう」というお答えだったからちょっと安心した。中秋の名月を愛でるのに虫の音がないというのもずいぶん寂しいにちがいないのだ。


   今年の十五夜(旧暦8月15日)は10月6日にあたる。週間天気予報によると6日当日は、曇りと出ているが、ちょいと雲がよけてくれるかも知れない。まんまるお月さんを拝むのには、団子とやはりススキのお供えが付き物だ。それに女郎花(オミナエシ)などの秋の草花。栗やヤマブドウ、アケビ、里芋、枝豆、トウモロコシなどなどの秋の収穫を供える。


   満月にはススキのすらりとした姿が良く似合う。ところが町場ではヨシ(葦=アシ)はあってもススキは少なくて、毎年山の上を探しに歩く。ススキは尾花ともカヤ(茅)ともいって、生活に欠かせない植物として大切にされていた。本州の場合、昔は集落ごとに茅葺(かやぶ)き屋根や冬囲い、炭俵用に、ススキが群落する「カヤ山」というのがあって、共同で利用した。一面銀色のススキの穂が風に波となる情景が懐かしい。ヨシは水気の多い低地にあって、穂も茎も大きく厚ぼったく、細い葉が横に出る。ススキは土手や野原や山の上に、すっきりと銀色に光る穂と細めの茎が伸びて風にそよいでいる。


   まんまるお月さんの中に餅(もち)をつくウサギでも見ながら、しんみりと虫の音を聞いてみたいと思う。

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