2006年11月03日号

瞳が赤くなる緑内障


今回はこれまでとはちょっと違う、新生血管緑内障または出血性緑内障と呼ばれる緑内障を取り上げます。


   患者さんのひとみを「じーっと」目を凝らしてみていると、赤いスジ状の血管がたくさん瞳の上に浮き出て見えることがあります。この赤味を帯びた血管こそが新生血管(正常では存在せず、病気になると新たに発生してくる血管)です。ひとみにこのような新生血管が生じ、眼圧が異常に上昇する緑内障を新生血管緑内障と呼びますが、極めて難治性です。
 この病気の発生には慢性的な網膜の血液不足、すなわち慢性の循環不全による網膜の低酸素状態が深く関わっています。網膜に慢性的な虚血を起こす代表的なものとして糖尿病性増殖網膜症や網膜中心静脈閉塞症などがあります。


   ここでは糖尿病の例を取り上げます。糖尿病になると最初から増殖性網膜症になるのではなく、まず糖尿病性単純網膜症が現われ、その後一定の期間を経て増殖網膜症に進行します。単純網膜症は眼底に小さな出血で始まりますが、やがて網膜血管から血液成分が漏れ浮腫を起こします。そして、網膜出血や浮腫が徐々に眼底に広がります。この時期には、黄斑部というものを見る中心に出血や浮腫がなければ視力もそこそこ良好で、暗点や歪みも無いため異常を自覚することはほとんどありません。しかし、この頃には網膜毛細血管に小さなこぶ(毛細血管瘤)や血管閉塞なども生じています。その後血管閉塞は毛細血管に限らず静脈にも現れます。血管閉塞がある範囲を超えると網膜は循環不全に陥り新生血管が生まれます。これが増殖網膜症の始まりです。


   一旦増殖網膜症になると内科的治療を一生懸命行い、血糖値やヘモグロビンA1cを正常に戻しても、増殖網膜症が良くなることはありません。唯一有効な治療法はレーザー光凝固です。時期を違えず行うのが大事で、遅れると硝子体出血や牽引性網膜剥離などの合併症が現れ、最悪の場合に点眼や内服などでは治療困難な新生血管緑内障が起こります。

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