2006年11月03日号

青天の霹靂?寝耳に水?


Aさんは60代前半の男性である。以前に「今朝4時頃、突然に痙攣発作があった」と当院に通院している母親に伴われて来院した。朝方に起こった全身性痙攣とのことで前頭葉焦点発作を疑い、脳神経外科を受診するように勧めた。後に、母親に話を聞いたが、原因は不明で今も抗痙攣薬を服用しているとのこと。その彼が4ヶ月ぶりに下肢の浮腫があるため精密検査を希望して母親と来院した。


   彼は10数年前から高血圧で某医院から降圧剤の処方を受けており、最近処方されたというβ遮断剤の副作用を疑った。勤務先の定期健康診断は毎年受診し、2ヶ月前の定期健診ではアルコール性肝炎?を指摘された。下肢の浮腫が認められるが、心音や血圧は正常範囲内。心電図(ECG)には異常所見は認められず、胸部レントゲン(CXR)でも心肥大や肺野の異常は認められない。


   だが、CXRで肝臓と接する右横隔膜がいびつに挙上しているのが気になり、腹部CT検査を行った。次々に表示される腹部断面画像に目を疑った。翌日届いた血液データからは肝膿瘍も否定できないが、画像診断的には明らかな転移性肝腫瘍の所見…予想もしない展開である。恵佑会札幌病院に紹介状を書いた。


   10数年間、高血圧症の治療を受けていたが、CXRやECG検査を受けたことはなく、会社の定期健診でも異常を指摘されたことはないそうだ。私のクリニックでは、高血圧症や糖尿病など生活習慣病の患者さんには1年間の検査計画表を事前に渡している。高血圧症では最低でも年に2回のCXRとECG、血液検査を行う計画だ。こうした計画的検査でも彼の異常を確実に指摘できたかどうか自信はないが、少なくとも右横隔膜の変化が妙だとは指摘できたと思う。病院ではかなり厳しい話を聞かされたらしく、彼の母親から電話で「こんなことってあるんですか?」と尋ねられたが…返す言葉が思い浮かばなかった!

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