2006年11月17日号

「芋洗い」って何なの?


今回の話は、いつもとちょっと趣向が異なっている。N嬢は調剤薬局に勤務する薬剤師である。私が嘱託医をしているグループホームで、私や看護師と一緒に訪問診療を手伝ってくれている。私たちが訪問する前に入居者の残薬を調べて、入居者に関する情報を集めてくれて、ファックスでクリニックに送ってくれる。彼女は、訪問診療を行っている他の病院の患者さんの家に出向いて訪問薬剤指導管理という仕事も行っている。

   彼女が提供してくれるグループホームの情報は、入居者が私や看護師には見せない日常…いつものようにAさんとBさんが食卓に一緒に座り、Aさんは食卓を叩いてリズムを取りながらBさんと民謡を歌っているけど、いつもこの輪に加わるCさんは何故かソファーで眠っている…を鋭くクールな観点で捕らえた貴重な情報が含まれている。それをウィットに富んだジョークを織り込んで報告してくれるものだから、いつも楽しく読ませてもらっている。

   彼女の情報提供の中に面白いものを見つけた。訪問薬剤指導をしているお婆ちゃんと訪問先で話をしていたとき、お婆ちゃんが「来週の月曜日に、イモ洗いをすることになった」と。一瞬何を言ったのか理解できなかったが、話の成り行きからMRI検査を受けるらしいと気づいた。確かに少し訛ると「エムアールアイ」≒「イモ洗い」なのだ。

   医学用語に略号が多い。しかし、語源を知らないまま使っていることもある。CTがComputed・Tomographyの略であることは知っていても、MRIがMagnetic・Resonance・Imagingの略だと正しく答えられる医療関係者は珍しいと思う。「イモ洗い」を笑っている場合ではないのだ。処方を意味するRpだってRecipe(レシピ)の略だと知らない医師や薬剤師もいると思う。CABG、PTCA、EMRなどなど略号を追いかけるだけで結構…シンドイものなのだ!

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