2006年12月01日号

「手軽さ」のウラ側…


かつ丼や天丼を安く出すチェーン店が増えて、なんと500円で食べれるし、お新香食べ放題だし、味もそこそこの水準だしと感心しつつ、アルバイト風のお兄さんにしてはおいしいな、と調理場を覗いてみたら、衣に包んだカツやら天ぷらが油の中を自動的に潜って出てくる機械。誰でも一定の品質に作れる自動システムなのだ。仕事もお手軽インスタント。これじゃあ、技術も人手もいらなくなるわけである。

   食品添加物の氾濫と無軌道な使い方に警鐘を鳴らす「食品の裏側」という本を書いた安部司さんは、添加物を多用したほうが、味覚的にはむしろ“おいしい”食品ができてしまうこと、熟練が必要な高い技術が添加物の使用で省略できることなども恐ろしいと指摘している。いわば、ニセモノの味や香りが本物を“上回り”、技術的にも偽者が幅を利かせて、その道その道の職人の仕事も奪われた。

   本来の技術を真似たインスタントな製品や食べ物が、その安さ、手軽さ、快適さゆえに“本物”を追い払い、コンビニのようなマニュアル化されたインスタントショップがチェーン化されて、土地土地のお店を放逐してしまう。営々と積み重ねてきた技術継承も途絶えてしまう。仕事はどんどんなくなり、修行して将来を築くという夢もまた持てなくなる。実はそれが、若者が職に付けない貧しい日本社会の元凶になっているのではないか。

   快適なのもいい。でも、それに甘えてだらだらと惰眠をむさぼっていたら、自分の仕事もなくなるのだろう。それを回避するのは消費者の自分たちなのだ。…と、ここまで書いて、あ、これって、便利快適をむさぼるうちに地球がおかしくなった環境問題と一緒だ、と思い至った。

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