2006年12月01日号

高齢者のための介護認定講座??


Uさんは90歳の女性で独居生活をしている。だが、自立した生活を営んでいるわけではなく、骨折の後遺症などで杖を使ってようやく歩行可能な状態であり、来院時は車椅子で移動してもらっている。1人では買物に行くことはもちろん、掃除や食事の支度もできず、ヘルパーの助けを借りて何とか生活している状態である。

   彼女の介護保険主治医意見書を私が書いた。「精神機能においては記憶や認知機能に大きな障害はないが、身体的機能ではヘルパーの全面介助が欠かせない状態」との趣旨の内容だった。だが、Uさんに届いた介護保険証には要支援2と判定されていたとケア・マネージャーから連絡が入った。これじゃ彼女の生活は不可能…私は「まさか!」と絶句した。ケア・マネージャーが言うには「役所の調査員の認定調査結果は、先生の意見書と正反対なのです」と。

   介護保険制度は平成12年にスタートし、今年4月の改訂では「要介護への進展を予防する」が主眼とされた。この改訂があってから、介護度認定が混乱していることは知っていた。要介護3という区分の重度要介護者がいきなり要支援2に、要支援1と判定された人が区分変更申請で要介護4となったという事例もあるそうだ。

   冗談半分に「高齢者のための介護認定講座」を開設しようか?と話していたことがある。高齢者は「役所からの…」と言っただけで、曲がった腰を伸ばして受け答えもシャキッとし、普段とは全く違った行動をとるからだ。「高齢者の日常生活を正確に把握するには短時間の面接ではダメで、一日中、本人と一緒に過ごせば、様々なことが分かる」と役所の調査員に言っても無視されるのが現実…こうなれば、高齢者を集めて「誕生日を聞かれたら正確に答えなさい、でも今日の日付や年齢を尋ねられたら、曖昧に答えなさい、歩行はヨボヨボ伝い歩きをしないさい」などの演技を教えなくちゃ!

トラックバックURL:

« 「手軽さ」のウラ側… | TOP | 網膜剥離① »