2007年01月19日号

カイゴのゴカイ!


Hさんは70歳台後半の女性である。4年程前から私のクリニックの患者さんになったが、慢性関節リウマチで総合病院などにも通院しているらしい。あるとき診察時の応対や会話に妙なところがあるのに気づき、同居している妹のSさんから詳しい日常生活の状態を聞くことができた。話の内容や検査結果からアルツハイマー型認知症が疑われ、中村記念病院の物忘れ外来を受診するように紹介した。

   一般的な診察に加え、HDS―RやMMSEなど質問形式による検査、脳内の水や脂肪分布で形態を調べるMRI、脳血流の状況を調べるSPECTなどの検査を受け、アルツハイマー型認知症との診断。アリセプトというアルツハイマー病の進展を遅らせる薬剤が処方され、月に1回の受診をするように言われたとのこと。

   最近、新聞紙上で介護付きケアハウスへの入居広告が目に付く。寝たきり・痴呆・胃婁・経管栄養・導尿…なんでも入居可能と。家族にしてみると「介護付き」という言葉は非常に魅力的…自分たちが苦労して行ってきた「介護」を代行してくれると思うからだ。だが、現実は…?

   Hさんの場合、「自立した生活は困難で最適なのはグループホーム」と説明したが、妹のSさんはHさんが認知症であることを受け入れることが出来ず、Hさんはケアハウスに入居…1ヶ月も続く微熱・・・入居前の説明では週に1回は医師が訪問診療すると聞かされていた。だが、医師の訪問診療は1度もない。やむなく家族は、Hさんを私のクリニックに連れてきた。診察すると、明らかな脱水状態、点滴を行い、「毎日、1000mlほど入る容器に水やお茶を入れて飲むように促すようケアハウスの介護者に頼んでください」と家族に告げた。施設によって提供される介護の質に差があるのが現実。家族には、ゆめゆめ「カイゴ」という言葉を「ゴカイ」せず、提供される介護の質に注目して欲しいものだ。


ロイズ チョコレート

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