2007年02月09日号

目的


時折、「何のために無料新聞を出しているのか」というような質問をされて面食らう。特定の宗教や思想、企業がバックにあるのではないか、と憶測する人もいたりする。そうした背景はまったくないのだが、まさか、「社会貢献のため」なんて大仰なことは恥ずかしくてとても言えない。「喰うため」…ばかりでもない。うまく言えずに、「いやぁ…」と口ごもってしまうのだ。


   リストラ旋風が吹き荒れ始めた頃、会社というものの役割の一つには、できるだけ多くの人たちを雇用する社会的責任もあるのではないか、と考えたことがある。単純に言えば、その給料で人々が生活し社会に還流して、お互いに支え合える。ところがコンピューター技術の進歩に乗じて、可能な限り人を切って利益を追求する考え方が礼賛され、その利益至上主義が「儲かりさえすればいい」という風潮を生み出した。人類の英知が追い求めてきたのは、人が誰でも平和に幸福に生きられる社会の実現ではなかったか。それが、単なる道具であるはずのカネを崇拝し、人を邪魔者にし始め、カネのためには、人も自然の痛みもかえりみない「何でもあり」の社会を作り上げてしまった。


   以前NHKのテレビ番組に大きなショックを受けたことがある。米国の大企業が、自国のみならず南米やインドの水源地を買占め、農業用水や飲み水でさえ金を払わなければ分け与えないという現実をレポートしたものだった。そうした大企業のために、政府なども規制を緩めるなどで便宜を図ったりする現実。日本でも規制緩和がすべて良いことであるかのような大合唱が続いている。大型店規制、保険、金融、エネルギー、税制…枚挙にいとまない。それが国民のために良いことなのかどうか。その検証すらされずに、流れは走る。


   「まんまる新聞」の配達は業者ではなく、地域の人々160人ほどが担ってくれている。売り上げは地域に還流すべきとの思いからだ。吹けば飛んでしまう零細会社のほんのささやかな挑戦でもある。読んでくれる読者の、日々の生活の営みに、ささやかでも役に立って、地域が幸せになれるように…。まことに口はばったいのだが、それがこの無料の新聞を発行している目的でもある。

トラックバックURL:

« この時期こそ、体の手入れが大切です | TOP | 細胞から病気を治す医薬品の話No.148 »