2007年03月30日号

フードファディズム


「納豆がダイエットにいい」というテレビ番組が、実はその根拠となるデータや研究者の発言が捏造(ねつぞう)だったと大騒ぎになった“納豆騒動”があったばかりだが、ダイエットどころではない、本当に笑えない話が今進んでいる。牛乳が体に悪いという内容を含んだ、「病気にならない生き方」(新谷弘実著)という本がベストセラーになって、医師で内視鏡の権威だという著者のテレビなどへのマスコミ出演も相次ぎ、牛乳への影響が心配されているのだ。


   この本、専門家は「少なくとも牛乳についての記述はまったくのデタラメです」(仁木良哉酪農大客員教授、北大名誉教授)と断言する。乳価の安さに搾(しぼ)った牛乳を泣く泣く廃棄せざるを得ない経験すらした北海道の酪農家にとっても大打撃。何よりも大切な食品である牛乳・乳製品の信頼が損なわれてしまう。放ってはおけないと、酪農学園大学の先生など研究者が立ち上がって、講演会を開くなどこの本に対する反論と正しい知識を広げる地道な努力を始めた。


   「フードファディズム」という言葉がある。この言葉を日本に紹介した群馬大学・高橋久仁子教授によると、フードファディズムとは「食べ物や栄養が、健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じること」で、科学的な検証無く良いとか悪いとか決めつけて商品の宣伝に悪用したり、いたずらに不安をあおりたてたりする風潮に警鐘を鳴らしている。こうした怪しい情報も、例えば役所や医師、マスコミなどの機関や人間に引用されたりして社会に出ると、とたんに権威がついて信用されてしまう例も多いのだという。


   本を書いた新谷氏のホームページをのぞいて驚いた。“Drシンヤ推奨商品”と称する健康食品からサプリメント、水、美容関連まで、膨大な商品が売られているではないか。同氏の講演会でも売られているそうで、まさしくフードファディズムであると、関係者は憤る。生贄(いけにえ)にされた格好の牛乳や乳製品。その悲憤の裏で、著者は“ビジネス”に精を出している…!?

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