2007年04月13日号

網膜剥離⑥黄斑円孔(3)


網膜の中心、すなわち黄斑部という最も大切な場所に穴が開く黄斑円孔、前回は眼球打撲などのケガが元になる外傷性黄斑円孔や、近視度数の強いヒトに多い近視性黄斑円孔について話しましたが、今回は原因不明な特発性黄斑円孔についてです。


   ①どんな症状を自覚するの? この病気は女性に起こりやすく、発症年齢は60歳前後に集中しています。また近視性黄斑円孔とは異なり、若い頃にはメガネをかける必要が全くなかった視力良好な正視付近のヒトに多く見られる傾向があります。


   病気の発症からあまり時間が経っていなければ、まず「新聞などの文字がすっきり見えなくなった」、「中心部がぼやける」など、中心部の異常に気が付きます。片方の目を隠してみると「文字が歪んで見える」、「見ようとするところがとんでしまう」という具体的な異常が分かります。しかし、健眼の視力が良好なときは気が付くのが遅れることもあります。病巣が古くなると高度の視力低下や中心暗点なども現れます。


   ②発症には硝子体が関係している この黄斑円孔の形成には、周辺部の網膜に穴が開く網膜剥離と同様に硝子体が密接に関わっています。加齢により硝子体が収縮し、そのとき癒着している網膜を引きちぎり裂孔を作るのが裂孔原性網膜剥離ですが、これと同様に黄斑部に癒着した硝子体がこの部分を引っ張り、中心部に穴をあけるのです。穴が開いた後はその周りに限られた薄い剥離を起こすことがありますが、近視性黄斑円孔のように周囲に剥離がどんどん広がり、網膜全てが剥離してしまうことはほとんどありません。従って完全に目が見えなくなることはありませんが、目が覚めてから床につくまで中心部の視力低下と歪み、それに暗点に悩まされることになります。


   この病気は一昔前までは治療法が無く、そのままの状態で我慢を強いられていましたが、最近では硝子体手術により破れた網膜を元の場所に戻すという治療法が確立し、上手くいけば発症から間もない新鮮例ではほぼ元の状態にまで視力が回復し、歪みも軽減・消失します。

トラックバックURL:

« 魔法のタネ | TOP | 舞い上がったTさん!! »