2007年04月27日号

メタボリック・シンドローム


最近のニュースで、定期健康診断に40歳以上の人への腹囲測定が来年度から加えられることになったと。あるとき、50歳代前半のMさんが来院した。「僕はズボンのウエストが84cmだから大丈夫」と、メタボリック・シンドロームの基準値である腹囲、男性85cm以上を満たさないと主張した。


   メタボリック・シンドロームという概念は最近のもので、心筋梗塞や脳梗塞の危険性を高める複合的リスク症候群…診断基準の最優先はウエスト周囲径、男性で85、女性で90cm以上。ウエスト周囲径といってもズボンのサイズじゃなく臍の高さの腹囲径。正確には腹部CT検査の臍断面で内臓脂肪面積が100以上だが面積を算出するソフトウェアは100万円もする。何とかCT画像から面積を算出する方法を考えた。


   腹囲径や内臓脂肪面積が上記基準を満たし、①脂質代謝異常、②高血圧、③高血糖のうち2項目の基準に合致するとメタボリック・シンドロームと診断すると日本内科学会が暫定的に定めたのである。高血圧に関しては最高血圧が130mmHg以上か最低血圧が85mmHg以上かのいずれかを、高血糖に関しては空腹時血糖が110mg/dL以上を満たすことが条件。


   不思議なのは、脂質代謝異常で中性脂肪(TG)が150mg/dL以上かHDL―コレステロール(HDL―C)が40mg/dL以下を満たすと決められているが総コレステロール(TC)や悪玉コレステロール(LDL―C)に関する記述がないことである。心筋梗塞や脳梗塞の疫学調査ではHDL―Cが低くLDL―Cが高いとリスクが増すことが明らかにされている。血中脂質の間にはFriedewald式と呼ばれるLDL―C=TC-HDL―C-TG÷5という関係がある。Mさんの腹囲は92cm、高血圧と高脂血症もあり立派なメタボリック・シンドローム。HDL―Cは60mg/dL以上かつLDL―Cは120mg/dL以下が理想的と言われている。

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