2007年05月25日号

自動体外式除細動器(AED)


Yさんは70代後半の男性。認知症高齢者を対象としたグループホームに一年半ほど前に入居。理由は高度の物忘れと認知機能低下、家族への暴力…とのこと。しかし、入居後の生活では、とても温厚な性格…ひょうきん族で婆ちゃんたちにも人気者。同じユニットには他の施設で乱暴者?と烙印を押されて退去させられたTさん、時々ちょっかいを出すが見事に受け流す術を心得ている。


   5月も半ば札幌郊外では桜が満開、ユニットでモエレ沼公園へ花見としゃれ込み、花見弁当を食べ終え周囲の散策に立ち上がったところ、Yさんが崩れるように倒れ込んだ。介護スタッフの呼びかけにも反応なし、脈も触れない。介護スタッフのUさんが直ぐに心臓マッサージ、Iさんが人工呼吸をしながら周囲の人に協力を求めた。また、I君は携帯電話で救急隊を要請し、公園管理事務所から自動体外式徐細動器(AED)を持ってきた。この連携は救急処置のABCである。


   このグループホームでは救急措置講習会を受けることを介護スタッフに義務付けている。医療施設ではないグループホームでも可能な範囲での救急方法を会得してもらうためだ。93歳のS婆ちゃんも施設内で急性心筋梗塞を起こしたが、スタッフの救急措置で一命を取り留めて今も元気だ。今回の場合、スタッフの救急措置も適切だったが、決定的だったのは施設に設置されていたAEDだと思う。


   一般の人にとっては脈が触れるか、心臓が動いているかどうかを判断するのは難しい。AEDは、心臓が動いているかどうか、心臓の拍動が正常かどうかを自動的に判断して必要な場合にのみ心臓に電気ショックを与えるものである。その機器の使用によってYさんの心臓は蘇ったのだ。札幌市にはAEDが様々な公共施設に設置されている。今回の場合は有効に活かされ、3日後に来院したYさん、いつものひょうきん族に戻って冗談を飛ばしていた。

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