2007年06月08日号

在宅介護は難しいのだが!


3年余り在宅診療を行ったK婆ちゃんが80余歳の人生を閉じた。北見市で一人暮らし、5年ほど前に娘さん夫婦が住む厚別区に引っ越した。長いこと糖尿病を患っており、一人暮らしのせいでコントロールの状態は良くなかった。移り住んでまもなく心筋梗塞を発症、続いて脳梗塞も合併、更に動脈閉塞による下腿前面の皮膚潰瘍が追い討ち。だが、心筋梗塞や脳梗塞は内科的治療で大事に至らずに済んだ。


   本人や娘さんの強い希望で退院することになり、担当医からの依頼で在宅診療を担当することに。娘さんの献身的な介護、インスリンとワーファリンによる治療で梗塞の再発は見られず、7×3センチほどもあった潰瘍もほぼ治癒状態にまで改善。だが、徐々に認知症が…認知症でしばしば見られる最も世話になる人への拒否反応…この状況に遭遇して娘さんはパニック状態に。こうした状況は在宅診療を行っているとしばしば体験する。


   最近、自宅で亡くなった寝たきりのM婆ちゃん、心筋梗塞と胸部大動脈瘤、大腿骨頚部骨折のため「自宅介護じゃ半年ももたない!」と医師から宣告されたが、在宅診療を3年半ほど続け90歳で大往生…K婆ちゃんもM婆ちゃんの場合にも介護した娘さんや嫁さんの献身的な介護には頭が下がる。厚生労働省は在宅介護を勧めるが、24時間介護する家族へのサポート体制は十分でない。ギリギリの状況に追い詰められた介護者がパニック状態になるのは必然なのだが…。


   K婆ちゃんの場合、娘さんの依頼で急遽施設へ入所した。それから1ヵ月半も経ずにK婆ちゃんは他界。詳細な状況は分からないが、予測された結末であった。後日、クリニックを訪れた娘さんは「私がもう少し忍耐強ければ…」と。私は「あなたの献身的介護がなくちゃ…ここまでは」とまで話して言葉が詰まった。でも、在宅診療をした3年余、K婆ちゃんは娘さんとの生活を満喫したことは確実!!

トラックバックURL:

« 年金問題 | TOP | 細胞から病気を治す医薬品の話No.156 »