2007年09月07日号

売り笑顔に買い笑顔


散歩人の顔貌というものは、お世辞にも観賞に堪え得るものとは言い難い。髪の毛がないのはまだいい。ゲジ眉もタレ目も、だんごっ鼻も許そう。しかし、奥歯が欠落し、長年の口中地殻変動で歯並びが片寄って、前歯にすき間が広がり、口元もゆがんでいる。すきっ歯を出して笑おうものなら、まるでアホウである。上下の唇が左右にずれて口元はへの字にゆがむ。悪役の顔…。


   で、最古参のスタッフに「朝、出社する時のぶすっとした顔を何とかしてくれ」と言われたことがあった。機嫌が悪そうで気がめいる、雰囲気が暗くなる、気疲れするなどと言うのである。本人は普通の顔のつもりなのだが、他の人にはぶすっと不機嫌に見える。考えに没頭していて返事もおろそかになると、社員には最悪の環境になる…。


   「売り言葉に買い言葉」といえば、「相手の暴言に対して、それに相当する暴言でやり返すこと」などと辞書にあるけれど、暴言ではなくとも言葉の裏に棘(とげ)を含む感情的なやり取りもまたある。棘があれば傷もつく。たいした悪意はないのに、言葉、態度ひとつで角が立つ。「歴史の裏に女あり」と昔から言うけれど、歴史の裏には、「売り言葉買い言葉」の些細な感情のもつれ合いも結構大きな要素としてあるのではないか。だから社内では、売り言葉禁止令を出そうかと思っている。


   スタッフに指摘を受けてから、社内ではできるだけ“顔”を気にするようになった。外へ出ても同じだ。と、これが楽しい。コンビニのブスッとしている店員にありがとうと笑いかけると、笑顔を返してくれる。横断歩道で車を止めて、どうぞと笑いかけると、ほとんどの人から会釈をもらう。「売り笑顔に買い笑顔」…。不細工な顔でも、これは通じる。

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