2007年10月05日号

秋の匂い


今年の残暑は本当に堪(こた)えた。暑さ寒さの耐久性だけには自信があったはずなのに、9月中旬まで夏のような暑さが続いて、彼岸21日の30度を超す馬鹿げた暑さにとどめを刺されて、日曜月曜のせっかくの連休には寝込んでしまった。年のせいかも知れないけれど、散歩人にとっては初体験の情けなさ。


   で、彼岸を越したとたん、朝晩がぐんと冷え込んで、一転して今度はもう深まる秋の風情。今度は風邪を引いてしまった。北国ならではの気候なのだろうと思ってはみても、手の平を返すような、あまりにもあっけないその仕打ちに、お天道さんに文句の1つや2つ言ってみたくなったのは、散歩人だけではないだろうと思う。


   9月末の土曜日、夕暮れ時に仕事先の会社を出た折、ほんの少しだけども草が枯れたような何ともいえない懐かしい臭いがして、ああ、秋の匂いだと思った。瞬時に、子供の頃の情景がよみがえって、もう少しすれば田や畑のあちらこちらで稲わらや豆がらを焼く煙がたなびいて、その臭いがすれば収穫も終わってもう冬支度…そんな晩秋の情景が浮かんで、ちょっと胸が切なくなった。


   柄にもない感傷にひたっているうちに、日が落ちて、街は「薄墨(うすずみ)を流したような」とよく例えられるけれども、まさしくそんな感じに、もはや暮れ落ちていた。空は薄青から炎の赤、深い赤、紫、濃い藍色へと玄妙な色層を織りなしている。インク瓶を透かしてみるような透明な深いブルーに沈んで行く街並み。秋が深まるにつれ、黄昏の美しさは際立って行く……のだけれども、日は短くなるし、気はせくし、冬はあっという間。冬道…除雪…。ア~ア、何とも気が重い…。

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