2007年10月05日号

経鼻内視鏡の使用経験から


今年3月に鼻腔から挿入する上部消化管内視鏡を導入し、9月中旬までに128例の検査を実施した。鼻腔が狭いために挿入が不可能だった人が5名、約25人に1人の割合だ。挿入後のアンケート調査では、実際に挿入できた人で過去に口腔からの挿入経験のある人=114人全員が「次の検査も鼻から行う」と希望した。上部消化管内視鏡検査の初体験者で「もう二度と検査をしない」と、検査への完全な拒否反応を示した人は皆無だった。


   AさんとBさんは40代後半の女性で、数年前から常に胃の不調を自覚し、胃集団検診でも精密検査が必要との判定を受けていた。だが、両人とも「胃カメラ検査は苦しいもの」との思い込みから精密検査を受けずに売薬で対処してきた。確かに、胃液の分泌を下げて胃の不快な症状を軽減する薬剤が市販されるようになり、それなりの効果があるのだ。しかし、テレビや新聞で「苦しくない胃カメラ検査出現」との情報を得、当クリニックで実施していることを知って受診したとのこと。


   Aさんを診察すると、鳩尾に硬い腫瘤(しこり)が触れて圧痛を訴える。翌日に内視鏡検査を行った。胃体下部に腫瘍を認め、胃体上部や胃の出口に近い幽門前庭部の壁も硬化しているような所見…悪性のものが疑われた。Bさんの検査では、幽門前庭部にビランなど胃炎の変化は認めたものの、潰瘍や腫瘍などは認めなかったが、ピロリ菌の検査で陽性との結果が報告された。


   Aさんに関しては、当クリニックの関連病院を紹介して受診したが、次からは夫の勧めた病院を受診したようで、その後の経過は不明である。Bさんについては、ピロリ菌を取り除く治療法(3種類の薬剤を1週間服用)を勧めて実行し、見事に除菌に成功した。その後、風邪で受診したBさんに尋ねたら、「今までいつも鳩尾のあたりの違和感や痛みがあったけれど、ピロリ菌を駆除してからは、すこぶる快適」とのこと。

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