2007年10月19日号

ビーチ・コーピング→ビチコ?


私の母の実家は増毛町舎熊。実家から送られてくる食品にビチコと呼ばれる得体の知れない動物の塩辛があった。父は酒の肴として美味そうに舌鼓。だが、幼少の私にはミミズを塩辛にした不気味なものに見え、箸を近づけることはなかった。晩酌をするようになって、ビチコの実に微妙な食感を知り、母の実家の伯父に頼んで何度も送ってもらった。長年この「ビチコ」の語源を探索してきた。


   ビチコの正体…ミミズやゴカイの仲間=ユムシという動物で、数メートルから数10メートルの海底の砂泥に穴を作って住み、子供のオチンチンのような形状をするミミズのお化け?…テレビで浜益の珍味=ルッツとして放映されたことがある。冬に大しけで海底がかき回されたとき、決まった海岸に打ち上げられる。増毛町の他地区に住む知り合いの漁師に聞いたが、「ビチコ?ルッツ?知らないね」と答えた。これが寄るのは増毛町でも舎熊駅前の海岸だけ。


   北海道にはアイヌ語由来のものが多くある。ニシンだってアイヌ語に由来…本来の日本語ではカド…だからカドの子がカズノコ。ルッツも「ミミズに似る」を意味するルッチというアイヌ語が語源という説、採取するときの動作が「寄せる。手を動かしてずらす」に似ていることから『萱野茂のアイヌ語辞典』に掲載されているルツが語源ではないかなど様々な説がある。


   ここに新たな説が登場した。飲み仲間の情報だが、「ビーチ・コーピング」=「浜から拾い集める」という英語…訛って「ビチコ」、可能性の高くない説のように思え、舎熊に住む80歳になる母の弟に電話してみた。「定かではないが子供のときにビチコという言葉を聞いたことはない。戦後だな」。漁師は船の前進を「ゴーヘ」、後退を「ゴースタン」という英語を使っている。漁師が英語?の可能性がまったく消失してはいないが、「ビチコ」の語源探索は続く。でも、実に美味であることは保証するよ!


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