2008年01月18日号

社会の貧しさ


灯油が、12月以降はリッター100円突破をにらむ驚異的な高値を続けている。リッター40円台~60円台だった2~3年前の2倍の高値だ。真冬の1ヵ月の使用量が札幌市の平均で247リッターほど(17年1月札幌市平均247・4リットル/札幌市調べ)というから、2万数千円。1万円以上も出費が増えていることになる。年金で切り詰めて切り詰めて生活している人々や、低賃金で何とかやりくりしている多くの家庭にとっては、死活問題と言っても大げさではない。


   昨年秋から灯油の盗難事件が相次いでいる。タンクローリーで乗り付け、家庭や会社の灯油タンクから給油を装って逆に盗み取る悪質な手口。盗難量が多いことから転売目的と警察では見て捜査している。そんなのが道内では数10件も発生して、さらに西日本の方まで盗難事件が南下しているという。でも、通常は盗まれているのかどうかに気がつかない場合がほとんどで、盗難被害はずいぶん多いのではないか。


   身につまされたのは先日(1月7日)の音更での灯油盗難。夜、近くの住宅まで自転車で行き、灯油タンクの銅製ホースを包丁で切って、持って行ったポリタンクに移し替えているところをパトロール中のお巡りさんに見つかり、現行犯で捕まった71歳の無職の男性の事件だ。盗んだのは21リッターあまりで2100円相当ほど。町内の公営住宅に1人暮らしで「自宅の暖房に使うために盗んだ」と供述しているという。


   同じ泥棒と言ってしまえばそれまでだけれど、タンクローリーで盗むそれと、ばれるのが目に見えているのに、自宅のストーブに使うのにホースを切ってポリタンクにチョロチョロと盗んでいるそれとでは、まったく意味が違う。包丁で銅製のホースを切るのにどれほど苦労したろう。この寒さの中でチョロチョロとポリタンクに溜まるのを待つ姿が、つらい。そういう事件で多くのマスコミが実名入りの報道をする「冷たい社会」でもある。


   家でストーブをたくのがもったいないからと、スーパーなどで時を過ごすお年寄りも多いという。音更のおじいさんを「何」が盗みに走らせたのか。これも“自己責任”なんだろうか。犯罪に走らなくとも良い人を、罪人にしてしまう社会…。原油が上がったからではない。貧しいからだ。


消臭 飲むだけ

トラックバックURL:

« 子宮内膜症(3) | TOP | No.88 »

[PR]SEO対策済みテンプレート