2008年02月29日号

泣き笑い、卒業式。


一人ひとりの卒業生の名前を読み上げる担任の先生の声が緊張して少し硬い。体育館はしんと静まり返り、厳粛の中に卒業式が進行する。後ろに並ぶ父母・保護者の思いもまた格別。時折もれる喜びのすすり泣きとともに、式はいよいよ佳境に入っていく…。


   ▼極まる感情を抑えきれない感受性豊かな方もいる。ある中学校で、息子の卒業式に参列した信子さん(仮名)は、生み育てた今日までの出来事が走馬灯のように思い出されて、涙が止まらない。しかし、これ以上感情を表に出してはいけないと必死にこらえていた。実は感情豊かな信子さんは、少しばかり泣き方が派手である。それを自覚しているものだから、ハンカチを口に当てて、声だけは出すまいと必死だった。しかし、息子の名が読み上げられ、壇上に上がる姿を見た後は、もういけなかった。


   ▼…ウム、ウム、ウム…必死にこらえていた声がもれ出した。その声を無理に抑えようとするものだから、今度は…ウェッ…という声が出てしまう。静まり返った厳粛な式場に、くすんくすんと“上品な”すすり泣きの声がもれる中に…ウェッ、ウェッ、ウェッ…カエルを踏んづけたような声が混じり始めた。後ろを振り向く人もいる。いけない、でもブレーキはもう利かない。感情が暴走し始めて…ウェッ、ウェッ、ヒ~ン、ヒ~ン、ヒ~ン…その少し風変わりな泣き声が、もうさえぎる物もなく響き渡るのだった。極めつけは、泣きながらしゃっくりが出ることだ。だから、この一連の泣き方は……ウム、ウム、ウム…ウェッ、ウェッ、ウェッ…ヒ~ン、ヒ~ン、ヒ~ン…ヒック、ヒック、ヒック……とずいぶん賑やかなのだ。周りの人はたまったものではない。自分も泣きながら、しかし、聞こえてくる泣き声がまたおかしいものだから、必死の泣き笑いになる。


   ▼穴に入りたい心境だったけど、こればかりはどうしようもなかった、と信子さんが笑いながら話すのを聞いて、このあたたかい素敵なお母さんにほのぼのとした。親と子ともども、人それぞれの巣立ちの風景。もうすぐ春…。


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