2008年03月07日号

雪渡り


「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」四郎とかん子とは小さな雪沓(ゆきぐつ)をはいてキックキックキック、野原に出ました。こんな面白い日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けない黍(きび)の畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこ迄でも行けるのです。平らなことはまるで一枚の板です。そしてそれが沢山の小さな小さな鏡のようにキラキラキラキラ光るのです。(宮沢賢治作「雪渡り」)……。


   雪の表面が何回かとけては締まっていき、春めいて強まる日差しにとけたのが、また夜にぐんと冷え込むと、まるで大理石のように雪の表面が凍って、その上を子供でも大人でも自由に歩けるようになる。宮沢賢治の童話は「雪渡り」だが、秋田で育った散歩人は「かた雪」などと呼んでいた記憶がある。田んぼも山も、どこまでも広がる雪野原。朝日にきらめく雪の結晶の、ダイヤモンドのような輝きを浴びながら、思うままにどこへでも歩いて行ける。春の訪れを歓喜するような幻想的な情景…春3月北国には、厳しい冬を抜け出したご褒美なのか、そんな神様からの贈り物がある。


   同じ北国でも北海道の場合は、東北の湿気の多い雪質と違うのと、雪が春まで降りつのり、とけるときには一気にとけてしまう、おそらくそんな気候条件からか、東北ほどの「かた雪」に恵まれる機会は少ないのだが、それでも30代以上になると、「子供の頃は雪の上を歩いて遊んだ」という記憶を持つ人に会う。そんな話をしていたら道北出身のスタッフが「流氷の上をどこまでも歩いて遊んではいたけれどもねぇ」…。何とも北海道らしい雄大な思い出が飛び出した。


   節分を過ぎた頃は積雪も全道的に少なく、日に日に春めいていたのが、2月下旬に入って1日に30~40cmも降るドカ雪が2度3度、2月末の積雪は1mを軽く超えて、平年より30cm以上も上回るとんだ“春あらし”。でも、うまく行けば寒暖の繰り返しでこの湿った春の雪が締まって「雪渡り」の夢をかなえてくれるかも知れない。あたたかく晴れた後の、星空がきれいな冷え込む夜の朝は、子供も大人も雪野原に出てみませんか?


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