2008年04月18日号

No.91


母に会うのは2カ月振り。グループホームに向かう足が弾んで来る。幣舞橋の上から眺めるポンポン船が懐かしい。ホールには、昼下がりの時間とあって入居者が風船バレーを楽しんでいた。同業者としてのチェックの目が四方に動き、嫌な性格だ…と自分を笑った。


   母はベッドに横になっていた。声をかけると目をまんまるにして驚き、寝乱れていた姿を懸命に直す。「修子かい?」よかった!


   でもその後の言葉に絶句した。「親ごさんは元気ですか?」「私の親ごさんはお母さん。私は娘の修子です!」母の目が不安気に宙を泳ぐ…その目が可哀想で「時の流れに身をまかせようね」とおどけて歌った。問い詰められないと知った母は、私の出鱈目歌に「ハハハハ…」と涙を流して笑いこけ、「久し振りに笑った」と手の甲で涙を拭った。


   職員さんがお茶を運んで来てくれた。お世話になっている事に感謝をこめて挨拶すると、「集団の中に馴染まない。気にいらない事があると人を叩く」等を訴えて来た。「母は集団の中に入れない性分なのです。叩くことはよくない事です。きっと自分を守るための行動だったのでは…ごめんなさい」と謝り、母を庇う私。


   母の部屋でこっそり串団子を食べた。「お母さん、お料理上手だったよね」「何が美味しかった?」「きんきの空揚げ!」「ああ、思い出した。お父さんが好きだったよね!」笑った顔が童女のようで可愛い。
 

   二泊三日の帰る日、「又来るからね」すると「体、気をつけなさいよ。三食、食べなさいよ。早く寝るんだよ」と母が言う。アレッ?私の不規則な生活が見えているみたいだね。握った手が温かかった。


   夜汽車の中で我慢していた涙が溢れた。「お母さん、私、夜爪切らないよ。霊柩車とすれ違う時親指必ず隠しているよ。だから元気でいて下さい。」


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