2008年04月18日号

聖火リレーに…


その衝撃的な映像をインターネットで見たのは一昨年末だったろうと思う。ユーチューブという、世界中誰でも投稿できる動画サイトで見た、ルーマニアのテレビで放映された映像だった。「中国軍がチベットの巡礼者を無差別に撃ち殺す映像」とタイトルがついている…。


   ヒマラヤ山脈、標高5700mのネパール国境、ナンパ・ラ峠。チベットからネパールに越境する巡礼の人々が、真っ白な雪山を1列になって静かにゆっくり歩いている。突然“タンッ!”と、乾いた銃声が響き、先頭の人影が雪原に倒れた。また“タンッ!”と銃声。最後尾の小さな人影が倒れる。子供だった。雪原の稜線で自動小銃を構え狙い撃ちする中国人兵士。「野犬でも狩るかのように撃ち殺している」…惨劇をビデオに収めたルーマニアの登山家セルゲイ・マテイさんの悲痛な声が入っている。


   この事件は2006年9月30日に起きた。約70人のチベット人が標的にされ、約40人は保護されたものの、残りは殺され、捕えられ、さらに、クレバスに落とされたという登山者の証言もある。実は、多くのチベット人が毎年このような犠牲になっているといわれる。今回はたまたま大多数の外国人登山者に目撃され、表沙汰になった。中国新華社通信は…チベット人が国境警備隊を襲ってきたため、身を守るため発砲、結果として2名を負傷させた…と、ビデオとは正反対の報道をした。日本での報道は本当に少なく、中にはこの新華社電をそのまま伝えるだけの全国紙さえあった。


   北京五輪がらみで、チベットを侵略し人々を蹂躙(じゅうりん)する中国のあり方が国際的な非難を浴びている。チベットの人々は同じ仏教を宗教基盤にするためか心ばえにも親近感があり、散歩人などにはどことなく懐かしい人々に思える。今と時代は違うが、確かに日本という国は朝鮮など他国を侵して植民地化した頃があった。そのことはきっちり認識するのが前提だが、やはり、人を武力で殺し、民族の存在を葬り去り、領土を征服しようとする今の中国のやり方は、許しがたい。


   長野を聖火が走るという。奥ゆかしく静かなチベットの民族性を思い、走る沿道に、チベットの解放を訴える横断幕を持って、ただ沈黙してランナーを見守りたい。そういう意思表示を国際的にしっかりしないと、チベットというものがいつの間にか葬り去られてしまう……決して政治的にではなく、同じ世に生きる人間として、そんな衝動に駆られている…。

参考:YouTube「中国軍がチベットの巡礼者を無差別に撃ち殺す映像(日本語字幕付)」


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