2008年05月16日号

アカントアメーバがやって来た ①


コンタクトレンズは、視力矯正には使い勝手のいい医療用具ですが、使い方が悪いと目に様々な障害が生じます。この障害のなかでも微生物が角膜に取り付く角膜感染症は、失明の危険性が高く怖い病気です。


   原因の大半は毒性の強いブドウ球菌や緑膿菌などの細菌ですが、真菌(カビ)が感染することもあります。いずれも一癖もふた癖もある微生物ですが、最近はやっかいな新種がコンタクトレンズによる角膜感染症の間で幅を利かすようになりました。聞き慣れない名前ですが、アカントアメーバという原生動物で、近くの沼や湿地などの水に生息するミドリムシやゾウリムシなどと同じ仲間です。アカントアメーバも通常は自然界の水や土壌に生息しているのですが、何かの弾みでヒトに感染し脳脊髄膜炎や角膜炎を起こすことがあります。


   このアカントアメーバ角膜炎、日本で最初に発見されたのは1988年です。その後2000年までの12年の間に報告されたアカントアメーバ角膜炎はたかだか100例を越える程度でした。ところが最近になり急激に増加しています。どうしてこの病気が急増しているのかその正確な理由は分かりませんが、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズ使用者の間でその増加傾向が著しいのです。


   北海道大学では、昨年からこの1年あまりの間に10人のアカントアメーバ角膜炎を治療したとのことですが、そのほとんどがソフトコンタクトレンズ使用者でした。これは、今までほとんどお目にかかることのなかった角膜炎がいよいよ北海道にも上陸したことを示しています。実は、最近当診療所にも使い捨てソフトコンタクトレンズでアカントアメーバ角膜炎を起こした患者さんが訪れました。北海道でこれからどのような猛威を振るうのか、心配です。


   コンタクトレンズを使用しているみなさん、この聞き慣れない病気が決して希なものではなく、みなさんの身近にも起こりうるのです。


嵐 CD

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