2008年06月20日号

冷たい世の中


まるで手の平を返すように…世の中が人に冷たくなっている。


   大型店が自由にどこにでも出店できるようになってから、目に見えて地域経済はがたがたになった。工業製品を輸出したいから農作物は自由化すべきだと、国内農業を犠牲にする自由化やそれに類する政策がまかり通った。数字を振りかざすような評論家たちや御用学者が、自給率などそっちのけで、市場経済だ農業過保護だと口に泡を飛ばした。国民が生きるのに、自分の国の食料が自分の国で作られないと他国に大きな弱みを握られてしまう、あるいはイザという時に飢えてしまう、そうならないように「食料防衛」という基盤がなによりも重要なはずなのに…。


   農業も商業も工業も、新しいアイディアだけが偏重され個性化だ、戦略的だと指導者たちは騒いできた。テレビや新聞では、それで成功したごく一部の農作物や工場や商店や会社の例を取り出して、まるで、誰にでもできているかのように放送した。その努力は確かに必要なのだろう。しかし、冗談じゃない、そんなものは誰にでもできるはずがない!!その時代時代に適合した、先端を行く能力というのは、誰でも持てるものではない。だから、“普通”の人たちが大多数なのが古くから変わらぬ世の中だ。


   貧しくともいいだろう。普通の人たちが普通に暮らして生きて行ける世の中を、この国の人々はめざして来たのではなかったか。誠実に生きて働けば、平安な老後を迎えられる…そう教えられ信じてきたはずだ。若い時の苦労を買えば、やがてそれは報われる、と言われたはずだ。少なくとも未来と可能性だけはあると…。


   「足るを知る」という言葉がある。「起きて半畳寝て一畳」という言葉もある。どれも、人一人、欲に走るな、独り占めしてはいけない、お互い助け合って生きるのが人の世界だ、分け合おう……そんな哲学を裏打ちしたこの国古来の誇りにできる美風だ。世の中には、決して“選ばれた者たち”だけのモノではない、という哲学ともいえる。


   法一つ、一部を“改正”するだけで世の中はこれほどに変わった。この国を懸命に築いてきた年寄りが、財政難だと切り捨てられるようになった。派遣社員という誰も責任を取らなくてもいい雇用で、企業は平気で人を使い捨てるようになった。その日暮らしで明日も保証されずにさまよう人々が一気にあふれた。そして何人かが、この国の今までのありようからは考えも出来ないような陰惨な犯罪に走った…。


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