2008年06月20日号

薬剤の適応外使用


Aさんは、60代後半の男性。高血圧症や高脂血症で定期通院している。以前から発作的に出現する「めまい」に何度も悩まされ、いろいろな治療を受けてきたそうだ。でも、治療効果が判然としないままになっていた。たまたま、インターネット(IT)で抗ウイルス薬による治療法を知り、その治療を受けるべきかどうか?を診察の際に尋ねられた。


   私は、突然のめまいや吐き気で受診した患者さんに、平衡感覚を司る蝸牛という部位の水腫を除去する点滴を行い、発作が治まったら耳鼻科を受診するようにお話している。Aさんが帰宅した後で、「見た」というホームページ(HP)を閲覧した。抗ウイルス薬を2週間程度の服用で80%以上の効果があると書いてある。この治療法に対しての耳鼻科専門医の批判やHP掲載者の反論も掲載されているが、専門外の私にはコメントできない。


   薬剤を適応症以外に使用することを「適応外使用」という。脳梗塞の予防に使用された小児用バファリンがその例だったが、現在は、同じ薬剤をバファリン81という名称で適応となっている。耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺などの症状が現れる「ラムゼイ―ハント症候群」の患者さんに、抗ウイルス薬を処方したこともある。だが、この薬剤、慢性「めまい」があっても、2・3週間もの間、飲み続ける、あるいは処方する勇気?私にはない。


   ITで「めまい」「耳鳴」「治療」といった項目で検索すると、健康食品を販売する会社、鍼灸治療やマッサージ治療院、医療機関など沢山のサイトが引っ掛かる。それぞれに独自?の主張をしているが、如何に多くの人が悩んでいるのか分かる。だが、この感覚、言葉で表現しにくいこともあって、患者さんには「もどかしい」という気持ちがあるに違いない。めまいや耳鳴などの患者さんに適応外の抗ウイルス剤を使用することの是非を云々するつもりはないが、患者さんの訴えは、実に切実だ!


デニムレギンス

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