2008年09月19日号

庶民の被害妄想…?違うよね?


酒酔い運転の罰金が30万円とか50万円とかに一気に厳しくされた時、取締りの強化は当然だが、いきなり罰金だけを極端に上げるのは疑問だと書いたことがある。その時に、酒酔い運転の犠牲になって家族を失った人の立場になったことがあるか、という主旨のお叱りをいただいた。そういう方の立場に立てば許せないだろう、と本当に申し訳なく思ったのだが、一方で急激な厳罰化によって、大きなあおりを受けた人々もいることもやはり考えないわけにはいかなかった。飲食業界がその筆頭だ。


   飲食店の多くは食堂にしてもすし屋にしても居酒屋やスナックにしても、地域で商う個人経営の店だ。酔っ払いオヤジがそこで使う金は、翌日には近くで食材やビールなどの仕入れに支払われ、あるいは店の修繕や従業員の給料となって、地域に還流する。大型スーパーなど大都市の本社に吸い上げられる金と違って、売り上げがそのままめぐって地域を潤す。いわば「地域経済の優等生」といえる。


   わかりやすい罰金の高額化は、効果てきめんだった。途端に各地の夜の街から人影が引いた。別に酔っぱらい運転をするわけでない人も引いた。以来、不況風にも吹かれて灯を消す店が後を絶たない。運転代行などという便利な仕組みが登場しても客は戻らず、危機的な状況が続いている。店がなくなり、夜の街にも働く先がなくなって、困っている人も多い。なら、昼に働けばいいなどと言うのは、どこかのお姫様が「パンがないのならケーキをお食べ…」と言ったという逸話に似ている。


   人々の暮らしへの影響を考えない、短絡的で乱暴な“法”の使い方は、恐ろしい。国民を支える重要な役割を担うお役人は、広く人々の生活に目を配って物事を進めるべきだと思うのだが、机上の理屈にだけ走った、世間音痴で後先を考えない幼稚なやり方が目に付くと思うのは散歩人だけだろうか。


   その後、飲食店に追い討ちをかけたのは“駐車違反”の取り締まり強化だった。厳しく見張られて、客足はさらに落ち込んだ。お上は近頃、弱いものいじめばっかりしている。聖人君子にはとてもなれない散歩人は、理屈をまくしたてる政治家や評論家や、ケーキを食べろと言ったお姫様に似たお役人や“知識人”を見るにつけ、暗澹(あんたん)たる気持ちになりながら、こそこそといじけて裏町を歩く…のである。


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