2008年10月17日号

No.97


私の一日は忙しい。その中で一番好きな仕事は?と聞かれたら、迷わず「入院相談業務です」と答える。


   患者さんは急性期の病院に入院し、手術や治療が終わって安定期に入ると、待ったなしで退院の問題が出て来る。家族は今後の療養先の病院を探して決めて行かなければならない。特に病院とは無縁の健康な社会で過ごされて来た方は戸惑いを隠せない。相談の内容は、父の事、母の事、夫、妻の事。病名は違ってもこれから抱える悩みの重さ、不安の大きさは同じだ。「大丈夫ですよ。パウロ病院も頑張りますから一緒に頑張りましょう」と励ますと、多くの方が涙する。院内をご案内して、穏やかな表情の入院患者さんの様子、ロビーで家族の方々の明るい交流の場面を間近に見て、不安な心が柔らいで行くさまが伝わって来る…この瞬間が大好き。やり甲斐のある仕事に感謝する瞬間だ。


   先日面談したA男さんは、暗く疲れていた。3年前、脳梗塞で倒れ半身不随となった父の介護を妻のA子さんが献身的に行って来た。管理職にある自分の帰宅は遅く、老父の世話はA子さん一人の肩にかかっていた。そのA子さんが介護疲れからとうとう倒れた。夫は妻が倒れてはじめて、仕事を名目に逃げて妻の愚痴一つ聞いてやれなかった自分を責め、私の責任です…と涙を流された。在宅での介護は、先の見えない暗いトンネルの中に迷い込んだ様に、辛くて長い戦いになる。


   人は病んでみて初めて色々な事に気付く。あたり前の事が何と有り難い事かと。食べれる事、手が動く事、足が動く事。「ウーッ!」と声が出る…。これすらも絶望の淵にいた家族にとっては「おとうさんの産声が出た」と泣いて喜ぶビッグニュース!感動なのだ。


   患者さんと、その家族と悲しみも喜びも共有できる仕事…今日も私はエンジン全開です。


タートルネックカットソー

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