2008年10月03日号

介護スタッフからの秘話!


Sさんは94歳になる男性。6年前にグループホーム(GH)に入居し、GHで「G郎さん」と名前で呼ばれる人気者。だが、GHに入居当初は、介護拒否を続ける有名人だった。自室に介護スタッフが入ることも許さず、全ての介護を拒否。「靴下を履いて風呂に入るのが健康法」とうそぶく毎日。入居後1年程して尿・便失禁が目立つようになり、日中に3度も着替えが必要となった。だが、本人は頑なに「自分で出来る」と言い張っていた。


   このSさん、ある時から介護スタッフが自室に入ってシーツ交換、整理整頓や掃除したりするのを許すようになった。私も看護師長も「ようやくSさんも老化を自覚してくれた」と単純に考えていた。ある日、往診後のミーティングで昔のSさんが話題となり、ある介護スタッフから思いかけない秘話が披露された。「ある夜勤の日にSさんをトイレに誘導してからベッドに入ってもらったとき…Sさんが手招きして『S藤G郎(本人の本名)を終えることにした…今後もよろしく頼む』と言ったの」と。


   翌日から介護拒否が嘘のように消え、リハパンも着用するようになったそうだ。この変化を「老化の自覚」と見るか、「人間としての決断」と見るかは、見方の問題だろう。だが、これ以後のSさんは、GHの人気者になり、GHの事務所やユニットの居間を喫茶店に仕立ててお茶やお菓子で歓待されるようになった。先週土・日の駒岡温泉1泊旅行、私と一緒に風呂に入って背中を流させてくれた。


   どのような老化を迎えるかの選択…それは個人の問題?…一方で「老化の自覚」も「老化に向かう決断」もできずに、排泄介護を拒否し、自室からトイレまで尿を散布し便を撒き散らし続ける90歳になる同じGHのTさんもいる。この6年間、週に2・3回僅かな時間であるが、Sさんと付き合ってきた者として、この秘話に含まれたSさんの勇気ある自覚と決断に「高齢者万歳!」と叫びたい。


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