2008年12月19日号

新型インフルエンザ


新型インフルエンザに対する警鐘が鳴らされている。インフルエンザ・ウイルスはA・B・Cという3つの型があり、地球規模での大流行を起こすA型が問題だ。スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪などはすべてA型が原因である。A型が大流行するのは、大多数の人が免疫力を持たない新しいタイプに変身する能力を持っているためだ。


   ウイルス表面にはヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)という2つの蛋白質があり、HとNの組合せを変えるシフト、HやNの中のアミノ酸配列を変えるドリフトという2つの仕組みで頻繁に変身を遂げている。スペイン風邪はH1N1、アジア風邪はH2N2、香港風邪はH3N2だった。


   インフルエンザ・ウイルスは中国の雲南省あたりから渡り鳥によって全世界にばらまかれる。ワクチンは、当地のウイルス存在状況を観察して流行しそうな型が選ばれて作られる。いま問題となっているのは、鳥インフルエンザから新型インフルエンザに変身する可能性のあるH5N1型である。


   現在、ヒトからH5N1型ウイルスが分離されるのは、東南アジアを中心とした小集団に限定されている。このことはウイルスがまだヒトからヒトへの強い感染力を獲得していないことを意味するが、この能力を獲得するのは時間の問題と言われている。1918年のスペイン風邪の場合、この能力を獲得したウイルスが出現してから数カ月で世界を席巻した。マスコミの報道の中には新型インフルエンザが人類滅亡につながるようなパニックを煽っているものもある。しかし、疫学の常識では、自然状態で1人が10人に感染し、2人を死亡させる病原性を持ったウイルスでも8人は免疫力を獲得するし、タミフルやリレンザという抗ウイルス剤や抗生剤で致命率を減少させることができ、やがて流行は終息することになる。パニックを起こさず冷静に対処することが必要と思う!


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