2009年03月13日号

JSH2009


わが国の高血圧を抱える人は4000万人とも言われ、急速な高齢化が進行する現状を考えると、今後も増加が予測されている。高血圧症は、脳卒中や心筋梗塞といった致命的な疾病の大きな原因であり、私のような家庭医にとって馴染みの疾患であるとともに最も重大な病気でもある。


   日本高血圧学会は、標準的な高血圧治療指針を2000年にJSH2000として発表し、2004年には改訂版であるJSH2004というガイドライン(GL)を公表した。これらのGLは欧米諸国での大規模試験から得られたエビデンス(証拠)に基づくもので、欧米諸国とわが国では生活習慣や疾病構造が異なっていることから、わが国独自のエビデンスに基づいたJSH2009が本年1月中旬に発表された。


   高血圧症には特有の自覚症状がない。健康診断や何かの機会に指摘されることがほとんどである。サイレントキラー(沈黙の殺人者)と呼ばれる所以である。今回のGLでは、病院で測ると高くなる白衣高血圧、家庭で常に高い傾向が見られる仮面高血圧などのリスクを十分に吟味する必要があるとしている。どちらかと言うと家庭での血圧測定が重要視されていて、家庭で行う血圧測定の細かな方法や機器も記載されている。


   今回のJSH2009で降圧剤選択の新たな基準が設定されたが、目新しいのはα遮断剤が第1選択薬から除外されたこと、従来主役だったカルシウム拮抗剤の役割が相対的に下がり、体内にあるレニン・アンジオテンシン系と呼ばれる血管収縮機構を抑制するARBという新たな薬剤が主役に躍り出たことだ。これは高血圧症に伴う脳卒中や心筋梗塞のリスクを増長するCKD(慢性腎臓病)の重要性から腎臓はじめとする臓器を保護する作用がこの薬剤に確認されているからだ。「1家に1台血圧計!」とスローガンを掲げたいところだが、わが家には自動血圧計はない!


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