2009年03月13日号

幸せの情景


街で、おそろいの防寒服に身を包んでしっかり手をつないで歩く、おそらくご夫婦だろう初老の2人連れに出会った。少し身体が不自由なのか足運びがおぼつかない女性を、男性が支えるようにしながら静かに歩んで行く。歩道の雪道が山になったところは、前になり後ろになって手を引いたり支えたりしながら、大切な宝物を身をもって守るかのように、ゆっくりゆっくり慎重に乗り越える。


   きれいに雪が払われた歩道に出たところでは、女性と同じ速さで、何かを話しながら、手を取り合ってゆるりゆるりと歩む。その様子がおだやかで、男性が女性に向ける気遣いがまた本当に細やかに見えて、2人の思いの柔らかさ深さが見ているこちらに迫って来るかのようで…ただ圧倒されて呆然(ぼうぜん)としていた。


   昼に近い、春めく日差しがあたたかみを増した歩道。大切に…大切に…人生をかみしめるようにさえ思えてしまう静かなゆるやかな歩み。ああ、自分はこうまで思いを委(ゆだ)ね合うことができるだろうか。


   どこでも見かけるようなごく普通の情景なのに、そのうしろ姿が輝いて見えた。深い何かを教えてくれているようで、この情景を残しておきたくなって思わずカメラのシャッターを切ってから、ほーっとため息が出た。


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