2009年03月20日号

土の恵みはどこへ…


森の栄養を限りなく秘めた水が田圃を巡り、稲を育てる。同じ場所で何年も作ると作物の多くが連作障害を起こすのに、森の栄養分のおかげで、水田は何千年も豊かな実りを人々に恵み続けてきた。その水は再び川の流れになり、海に注いで、やはり豊かな生命を海に育んだ。そのことは、最近になってようやくわかってきたことである。自然の原理、生きるための原点が、現代人にも、おぼろげにだがようやく見えてきた、そんな矢先…。


   トマト、レタス、サラダ菜…日本でもジワジワと、なぜか静かに「植物工場」が増えている。東京のド真ん中のオフィス街で果物、花、米などの工場計画も具体化しているという。無菌化しコンピューター制御した工場で、水と液体肥料の中に根を張らせ、ガラス屋根からの太陽光と人口光で育てる水耕栽培。自動化を進めミツバの“18期作”(年18回の生産)を行っている工場もある。“工場生産品”は、水洗いしなくとも売り場に出せるし調理の下処理に手がかからないと、スーパーや外食産業、食品工場などの引き合いが多い。天候に左右されることのない、一定した高い生産効率が見込める。


   毎年作物を生み出してくれる「土」。果たして、工場で作り出される液体肥料は「土」と同じほどの深い栄養を持っているのか…。シイタケは木に生えるものなのだが、最近はおが屑を固めたものなどに屋内で栽培する菌床栽培がみるみる増えて、北海道では今、すでに9割方が菌床栽培のシイタケなのだという。見た目は同じでも同じ作物なのか…。あっという間に菌床栽培が原木栽培のシイタケを放逐してしまった“商業主義”“効率崇拝”というものの恐ろしさ。


   目先の利益に人々は加速してしまい、今、土と太陽の恵みを食べ生きるという、人が生きてきた原点を破壊しようとしている。農業の崩壊。社会への影響も、食物のあり方という点でもおそらく慎重な検証がなされないままに、静かに、しかし国と大企業を主体にして、止めようのない大きな波になって押し寄せ始めた農作物生産の工業化。どうにも恐ろしいのである。


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