2009年05月15日号

K子さんの個展



   K子さんは、60歳代半ば、10歳は若く見えるとてもチャーミングな女性である。平成14年からいわゆる生活習慣病のために通院している。今年3月の定期受診の日に『スケッチの旅』と題する水彩画展覧会の案内状を持参してくれた。裏には絵の仲間の人が描いたオーストリアのシュルンスという田舎町の風景画が描かれている。


   シュルンスの場所を調べてみた。オーストリア西端フォアアールベルグ州の南に位置するアルプスの山々に囲まれたのどかな地、有名な景勝地で、日本アルプスで有名な妙高市と姉妹都市の関係を結んでいるとのこと。作家ヘミングウェイが愛した山村らしい。


   長年医者をしていると、肉親に先立たれた家族の悲哀に接することが珍しくない。残された家族が悲嘆にくれるのは当然で、私としては「死を迎えた人の分も生きて頑張ってください」としか言ってあげられない。その悲しみを引きずりなかなか立ち直れない人、悲しみを乗り越えて気丈に生きていく人を見てきた。


   K子さんは後者である。4年ほど前にご主人が肺腫瘍で急逝した。当時のカルテには「夜中に突然目が覚めて動悸がし、血圧も180以上になる」などの記載がある。小柄で華奢な感じを受けるK子さんだが、芯はしっかりとしていたらしい。翌年、大学の事務職を定年退職し、それを契機に水彩画を始めたと聞いていた。昨年1月には極北の地にオーロラ見学に出かけ、9月にはオーストリアの前記の地に仲間と絵を描くためのロングステイを敢行…「来年4月には道新ギャラリーで個展を」と言っていた。先日、K子さんの絵を観賞してきた。絵画にまったく疎い私でも、オーストリア・アルプス地方の山間の雰囲気が伝わってきた。特に放牧された牛を描いたものは、目の前で草を食んでいる牛、そのもの…絵の師匠からも「長年、畜産関係の大学に勤めてきただけあるね」と言われたそうだ。


B’z CD

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