2009年05月29日号

角膜移植とアイバンク①


病気や怪我などで本来は透明なはずの角膜(黒目)が混濁したり、その形が歪んで失明状態の眼球に透明で歪みのない角膜に取り替える手術を「角膜移植」と言います。この手術法は、1928年にソ連の研究者が死体から採取した角膜を眼球に移植したのが始まりです。角膜移植により失明した眼が光を取り戻したことから瞬く間に世界に広まりました。1945年には世界初のアイバンクがニューヨークで設立され、多数の角膜移植が行われるようになりました。


   一方、我が国では、1949年に岩手医科大学の今泉亀撤先生が第1例目となる角膜移植を実施しました。この当時、岩手県では角膜混濁の原因となるトラコーマに罹っている小中学生が50%以上でしたが、積極的な治療により10年後には10%以下になったとのことです。しかし、角膜混濁による失明学童が非常に多く、これらの学童を救うために角膜移植を行ったのです。当時日本では、死体から眼球を摘出しその角膜を患者さんの眼球に移植することは、死体損壊罪に当たる恐れがありました(今泉亀撤著/氷のささやき)。その後1958(昭和33)年には、角膜移植に関する法律が制定され、1963年からアイバンクが設立されました。


   アイバンクとは角膜移植を支援する組織で、献眼を希望される方の募集や登録、啓蒙活動などを行います。死亡した後に光を失った患者さんのために眼球を寄贈したいという意志がある場合、アイバンクに申し出て登録していただきます。北海道では札幌医大と旭川医大にアイバンクが設立されていますが、移植に必要な角膜の絶対数が慢性的に不足しています。


   この状況を少しでも改善しようとアイバンクの啓蒙活動を続けるシンガーソングライターとして夕張出身の鈴(れい)さん「本名/渡辺淑恵」が取り上げられていました(平成21年4月25日の北海道新聞「ひと」の欄)。鈴(れい)さんのご活動に心より感謝致します。そして、皆様にこの運動へのご協力をお願いします。


クロックス

トラックバックURL:

« 細胞から病気を治す医薬品の話No.205 | TOP | 2009年新型インフルエンザ? »

[PR]SEO対策済みテンプレート