2009年07月03日号

夏のいろ


6月21日に、季節の移り変わりを教える二十四節気でいう「夏至(げし)」を過ぎて、今年は7月7日の七夕の日が「小暑(しょうしょ)」。本州ではそろそろ梅雨があけ、夏の暑さが本格的になってくる。そして7月23日が、暑さがきわまる「大暑(たいしょ)」。夏のピークだ。各季節が立つ前の18日間を「土用」といい、特に夏には立秋の前18日間の最初の丑(うし)の日を、「土用丑の日」、2回目の丑の日を「二の丑」といって、“うなぎの日(?)”になっている。今年の土用丑の日は7月19日、二の丑は31日…。


   季節に色をつけると、春はアオで「青春」、夏はアカで「朱夏(しゅか)」、秋はシロ「白秋」、そして冬はクロ「玄冬(げんとう)」と、古来、中国や日本ではいわれてきた。暑い夏…なるほどアカい季節の感じもして、「朱夏」のイメージではあるけれど、どうも散歩人の持つ夏のイメージは違う。輝くような「白」なのだ。着物やシャツや日傘の白だったり、緑の濃さを増した木々の葉が、風に吹かれて光る白だったりする。なぜか白い一本道でもある。それが峠に上って行く……。


   子供の頃から峠というのが好きだった。子供の頃は、峠にさしかかるたびに、その向こうにきらめく青い海が広がっている気がして、胸をときめかせていたのを思い出す。登りの峠道の間に見える空。鬱蒼(うっそう)とした森の登り道でも、木々の間にぽっかり視界が開けた時に、峠の向こうに空がある。峠の向こうに何があるか知り尽くしているなじみの道でも、何か新しい世界が広がりそうなそんな希望が胸にわいて、頂上に近づくにつれなぜか足早になってしまうのだ。峠の空に広がる未知の世界…。そのすがすがしい開放感と希望。散歩人が歩いた峠道には湧き水がわき出ていて、夏の日差しに汗を拭きながら、通る人々は必ずその水でのどを潤した。フキの葉をまるめて器を作り、冷たい水を汲むのである。


   …だから、散歩人の夏は、白い1本道と、その峠道の向こうに見る空と、そのかなたに広がる希望に胸を高鳴らせる…そんな情景だったりする。あのすがすがしい開放感。峠の登り道を汗みずくになって歩いてでしか、あの希望には出会えないのだと思う。車で走ってばかりでは得られないよなぁ。どうしようもなく堕落しちゃったなぁ。1歩1歩…歩いてでしか見られない峠の空。もう一度見てみたい…。


ウォークマン Sシリーズ

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