2009年07月03日号

モンスター・ペイシェント


学校に対して理不尽な要求を突き付ける保護者をモンスター・ペアレンツと呼ぶそうだが、医療機関に対して同様の無理難題を突き付け、果ては脅したり暴力を振るったりする患者さん(ペイシェント)もいるらしい。幸いなことに、このような場面に遭遇したことはない。


   こうしたモンスターが出現する背景には、診療に支払った金額に見合った効果が得られないという患者さんの消費者意識、医師法第十九条に記載された患者さんの診察を拒否できない診療側の法的規制、マスコミに大々的に報道される医療事故・過誤の記事などが、大いに影響していると思われる。


   ある日、2ヶ月も続く空咳を訴えて50代後半の女性が初診。症状を訊き、胸のレントゲンも撮って、気管や気管支の粘膜が過敏になって起こる咳喘息と診断して吸入薬を処方した。1週間後に再来した彼女、笑顔で「吸入を始めて4日目から咳が止まった」とのこと。これでOKかと思った。彼女「私の友人に同じ症状の人がいるの…同じ吸入薬を処方して欲しいの」と。「それはできないので、その人に受診してもらってください」と答えたが、押し問答の末、突然、般若の顔に変身、「医者は患者を助けるものじゃないの」と言って立ち上がり、診察室のドアを乱暴に開閉し、待合室に大勢の患者さんがいるのも関わらず、「ここの医者は金儲け主義よ!」と大声。


   医療は、「苦痛を除去して欲しい」患者さんの願いと「除去する方策を考え実行する」医療者の行為の交差する部分に成り立つ。患者さんは「一刻も早く…」と願うのだが、医療者は苦痛の程度や出現状況、原因と対策や予後まで考慮する。場合によっては苦痛の推移を見極める必要があって苦痛除去を後回しにすることもある。また、原因を除去するため、現在の苦痛を緩やかに和らげながら対処する必要が求められることもある。患者さんも医療者もお互いの言い分を聞く余裕が欲しいものだ!


おもちゃ・ホビー・ゲーム

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